【これがリアル?!】ゴーストレストランはオワコンなのか?匿名を条件にインタビューしてきた
コロナで爆発的に増えたゴーストレストラン(バーチャルレストラン)。
そんな状況で Uber Eats は、「別店舗を装いながら同じメニューが被っている」といった悪質な店舗は削除するといった報道がありました。
といっても、Uber Eats は、全面的にゴーストレストラン(バーチャルレストラン)を否定しているわけではなく、質の高いオペレーションを保てるなら売上が作り出せると勧めていたりします。
そこで!今回は、同じ店舗で16種類のブランドを展開しているお店にインタビューし、ゴーストレストラン運営のリアルな現状を伺ってきました。
ゴーストレストランを運営している方だけでなく、これから導入を検討している方も要チェックですよ!
- 飲食店の第二の形「ゴーストレストラン」
- ゴーストレストラン特化店にインタビュー開始!
- デリバリーブランドについて聞いていく!
- デリバリーの注文数や売上も聞いていく!
- ぶっちゃけデリバリー対応って大変?
- デリバリープラットフォームについて
- 売上・経費・営業利益を大公開!?
- 結論:ゴーストレストランはまだまだ稼げる!
飲食店の第二の形「ゴーストレストラン」
ゴーストレストランとは?
そもそも、ゴーストレストランってなに?という方に向けて少しだけ解説を…。
一般的に、飲食店は入り口や看板に提供する商品がどんなものかわかるように明示されてますよね!
例えば、「カフェ〇〇」とあれば、ほとんどの方は喫茶店だとわかるはずです。
それに比べゴーストレストランは、日本料理店からパスタが?!海鮮居酒屋からトンカツが!というように、イートインにはない商品をデリバリー限定で提供しているお店のことだと思ってもらえたらわかりやすいかもしれません!
ゴーストレストランとバーチャルレストランとの違い
ゴーストレストランはバーチャルレストランの別名のように扱われていますが、実はちょっと違います。
実は前項のように飲食店を開業しているお店が、イートインやテイクアウトとは違う商品をデリバリー限定で提供している場合をバーチャルレストランといいます。
それとは別に、イートインやテイクアウトを行わず、デリバリーだけを運営しているお店が本当はゴーストレストランなんです。ゴーストレストランの中には、外装無し・看板無しという、飲食店とは一目見ただけでは全くわからないような店構えの店舗もあります。
じゃあ、前項のゴーストレストランって意味が違うじゃないか!と言われるかもしれませんが、ゴーストレストランとバーチャルレストラン、どちらもデリバリー限定の商品を扱っている点は同じなので、どちらの形態でも通称はゴーストレストランのほうが、個人的にはわかりやすいかなと思っています。
この記事では、バーチャルレストランをゴーストレストランと呼ばせていただいておりますので、あらかじめご承知おきください!
ゴーストレストラン特化店にインタビュー開始!
今回、インタビューさせていただいたお店は、オープンした一ヶ月後にコロナが始まってしまったという苦境に立たされながらも、工夫とこだわりで売り上げを維持し今日まで着実に店舗運営を行ってきた意識高い系のお店。
今回は匿名のインタビューということで、ざっくばらんに色々なお話を特別にお伺いできました!
この記事を読めば、ゴーストレストランやフードデリバリーの良い点と悪い点が大体わかるかも?!
今日はよろしくお願いします!
インタビューを受けていただいてありがとうございます!
いえいえ!でも本当に私達でいいんですか?!あまり特別なことはしていないと思うんですが…。
複数ブランドを運営されているお店のお話は貴重です!インタビューは匿名なので、色々お話を聞けたらと思います。
ブランドは開業から増えたり減ったりで、いつの間にかこんなに増えたっていう感じです。確かに、匿名じゃないと話しにくい内容もありますね!
今回インタビューに応じていただいた理由を教えてください!
一番の理由は、このエリアにゴーストレストランがあまりないので、少しはお役に立てるかなーと思ったことですね。あとは、謝礼もいただけるし!
インタビュイー紹介
ウマ娘大好きお姉さん。飲食業界は全くの未経験ながら、飲食店経営のことを独学で勉強し台湾系ドリンク・アイスクリームのテイクアウト専門店をOPEN。店舗の内外装を自分でDIYして出店費用を抑えた分をスタッフ採用に投資して、しっかりと行き届いたサービスを提供してくれると評判に。常連客を多数獲得し今日に至る。
お店の成り立ちを教えてください!
初めはドリンク専門店をオープンさせたんです。従業員はオーナーとスタッフ2人という小規模で始めたんですが、直後にコロナが始まってしまって…。ただ、テイクアウト専門だったので、イートイン店に比べれば被害は少なかったかもしれません。
売上はどんな感じだったんですか?
テイクアウトだけなので、平日は2万円〜3万円くらい、週末は5万〜7万くらいでした。一ヶ月の合計は大体80〜100万くらいはあったと思います。
※粗利や運営利益などは、まとめの項目で解説していますので、是非チェックしてください!
ドリンクのテイクアウト専門だと多い方じゃないですか?
立地的にそこまでいい場所ではなかったので、売上は悪くはないと思いますがスタッフを雇っているので多いとは感じませんでした。ただ、当時はタピオカドリンクがまだ流行っていたので、ある程度の売上は確保できていたと思います。と言っても、お店のオープンがコロナが始まった時期とモロ被りしていたので、オープン景気が終わった後はどうなるのかなとは思っていましたけど。
実際オープン景気後はどうでした?!
オープン景気は2ヶ月くらいだったんですが、その後の売上も急激に落ちたりはせずにほぼ現状維持って感じでしたね。そうしてるうちに、Uber Eats が地元にローンチされたので、すぐに登録しました。テイクアウトの売上にUber Eats を合わせると、店全体の売上はコロナ禍なのに上がりましたね。と言っても、テイクアウトの売上は徐々に下がっていたので、これからデリバリーを強化しないとなと考えていました。
※店舗のオープンが2019年11月で、Uber Eats のローンチが2020年3月です。
ここでデリバリーブランドを増やしたわけですね!
地元のUber Eats のエリアを見てみたときに、ご飯系ばかりでデザートのお店が全くなかったんです。その時に、他のエリアから遠征で配達に来ていたパートナーさんが、ワッフルが流行っていると教えてくれたんで、自分でワッフル系のデザートを扱っているFC(フランチャイズ)を調べて導入したって感じです。
デリバリーブランドについて聞いていく!
導入費用はどのくらい必要なんですか?
ワッフルのFCは加盟金が必要なら導入しない!と言い切ったからか、月々売上の10%のロイヤリティ以外はかかりませんでした。デリバリープラットフォームのUber Eats は登録費用が5万円かかりました。ただ、この後に新しくトゥンワッフルとアイスクレープのFCも登録したんですが、そのときはUber Eats の登録費用もFCの加盟金もなかったです。
※FCの加盟金やUber Eats の登録費用などは、導入時期やキャンペーンによって変わってくるので、参考程度にお考えください。
Uber Eats の導入・費用などについてはこちらを参考にしてください!
かなりお手軽にブランド追加ができたんですね!
そうですね!実際、ドリンクで使っている食材が、ワッフルやクレープでも流用できたので、新しく食材を準備するといった手間はほぼ必要なかった点は楽でしたね。スタッフも新メニューみたいな感じでオペレーションを伝えたらすぐ対応できたのは良かったです。
デザート系以外のブランドはいつ頃追加したんですか?
昨年コロナも落ち着いてきたのでイートインでの売上を取りに、店舗移動をしてテイクアウト専門店から韓国居酒屋に業態を変更したんです。居酒屋メニューでご飯や鮮魚などの提供を始めたので、同じタイミングでデリバリーにもご飯や麺などの食事系も追加しました。ただ、一気に増やすというよりは、段階的に1ブランドずつ徐々に契約したって感じです。
ブランドを追加すればその分経費が増えませんでしたか?
やっぱり梱包材の在庫は、追加ブランド分だけかなり増えました。ただ、食材は居酒屋と共有できたので、在庫を少し多めに持つことはしましたが、特に大きな負担はなかったです。とはいっても、フルーツや鮮魚、お肉などの生ものに関しては、なにも考えずに大量に仕入れてしまうと腐ってロスが出るので、そこは気を遣ってましたね。
いま導入しているブランド数は16で合っていますか?!
そうです!正直かなり手を広げているように見えるかもしれませんが、各ブランドとも基本的にメイン系の商品のみのラインナップなので、1ブランドの負担というのはそこまで大きくないんです。なので、デザート系7ブランド、ごはん系7ブランド、麺系2ブランドを運営していますが、メニュー数は3ブランド分くらいに感じています。
導入するブランドの系統を揃えたらそこまで負担はなさそうですね!
あまり同じ系統ばかり導入しても利用者は増えにくいと感じているので、そこまで単純とは考えてはいません。ただ、ブランドが違えば系統は同じでも味付けや見た目が違うので、利用者の好みで使い分けてもらえるかなと思ってます。
これからもブランドは増やしていく予定なんですか?
実は、来月に新しく2ブランドを登録します!そして、あまり注文がないブランドを中止する予定もあります。これからは注文が多いブランドを残して、少ないブランドは定期的に止めていこうと考えています。
FCの加入金や登録料が必要だと導入と中止を定期的に行うのは難しそうですね
そうですね。私達は月々のロイヤリティ以外は必要ないFC会社と契約しているからできることかなと思っています。とはいえ、もし加入金や登録料が必要であったとしても、新商品を販売して、売れない商品を止めるというのは商売では当たり前だと思っています。ゴーストレストランを運営するなら、止めるときに多額のペナルティが課せられるというような場合でなければ、ブランドの入れ替えはしたほうがいいと思います。そもそもペナルティが設定されている売れるかどうかわからないFC商品は、よく考えて導入することをおすすめします。
メニュー作成依頼についてはこちらの記事で紹介していますので興味のある方はチェックしてみてください!
デリバリーの注文数や売上も聞いていく!
デリバリーの平均売上を教えてください
デリバリーだけの売上でいうと、平日平均は1~2万円、週末は平均3~4万円、月間の売上はだいたい40~60万円くらいですね。
1注文あたりの平均単価を教えてください
ブランドによって幅はありますが、大体1,500円~2000円くらいです。ドリンク1個とかのオーダーもあるので想像より低く見えるかもしれませんね。
コロナ禍と比べて売上はどうなりましたか?
コロナ禍に導入したブランドは、コロナ禍と今を比べると平均2/3くらいまで落ち込んでます。なので、落ち込んだ分の売上を作れるように、定期的に新しいブランドを導入しているって感じです。
お店全体の売上はどんな感じですか?
新しいブランドを導入しているので、お店全体では維持~少しプラスで営業できてます。流石にめちゃくちゃ儲かってるとは言えませんが。
粗利率ってどのくらいで設定していますか?
デリバリーは正直低いですね、大体10~15%の間で設定しています。
※粗利10%~15%というのは飲食店の平均的な数値だと思うので、イートインと比べると低いという意味合いだと感じました。
※収益情報詳細や経費については、まとめで詳しく紹介しているので是非チェックしてくださいね!
やっぱり粗利は低いですね…
そうですね…、食材費は20%から25%くらいで、容器代が大体5%から10%程度掛かります。これにデリバリープラットフォームの利用料が40%前後、FCのロイヤリティ10%に人件費や光熱費などの変動費、家賃や設備費などの固定費を引くと…。どう頑張っても粗利は10~15%くらいになっちゃいますね。
それでもデリバリーに特化しているのはどうしてですか?
イートインはお店の席数だけしかお客様を入れられないですが、デリバリーは店舗のキャパ関係なしに注文を受けられるので、粗利が少なくても力を入れてます。人件費についても、イートインとデリバリーが一緒なので、少しでも無駄を減らして店舗全体の利益率を上げようと考えています。
ぶっちゃけデリバリー対応って大変?
デリバリーの対応ってイートインとくらべてどうですか?
デリバリー対応に負担を感じたことは正直あまりないですね。ただ、イートインはお皿に盛って出せば終わりですが、デリバリーは汁漏れや型崩れが起きないように神経は使っています。料理は味と同じくらい見た目や品質が大切だと思っているので、当たり前といえば当たり前ですけど。
16ブランドも運営するって大変じゃないですか?
流石にタブレットを20枚以上も置くことはできないので、12ブランドは一つのタブレットで受注できるように設定しています。あとはさっきも言いましたが、商品数を絞って運営しているので、思ったより大変さはないんです。トッピングは設定してますけど、サイドメニューは販売してないブランドも多いので、メインだけ作れば調理完了っていう思ったより単純なオペレーションなんです。調理工程を簡単にすればブランドを増やしても提供時間を短くできるし、間違いも少なく運営できています。
複数ブランドの受注をタブレット1枚で行うのはどうしているんですか?
Camel(キャメル)というデリバリー注文一元管理サービスを利用してます。本当は毎月の利用料が1万円位かかるそうですが、ウチはたくさんのFCを導入しているので、FCを管理している会社と交渉して無料で利用してます。
※16ブランドも導入している店舗には、流石にFC管理会社も色々融通してくれるみたいですね!Camel(キャメル)の他にも、Orderly(オーダリー)やOrdee(オーディー)など、デリバリー注文一元管理サービスを提供している会社は色々あるので、気になる方はチェックしてみてください!
商品調理で気にしていることはありますか?
何をおいても一番に盛り付け。自分が写真と違うものが届くとかなりがっかりするので、スタッフには調理するときに写真通りの盛り付けを行うように指導しています。また、FC本部は鮮魚やフルーツについては冷凍を使えというんですが、個人的に食べて美味しいと思わないので基本的にフレッシュを使うようにしてます。例えば、いちごワッフルは人気が高いので一年中提供したいんですが、ウチではいちごが旬の時期だけしか注文は受けてません。だから提供が始まると注文の7~8割がいちごワッフルになります(笑)。他にも、デザート系に使うクリームやワッフルの生地ネタは、できるだけ注文を受けてから混ぜるようにして、可能な限り作り置きはせずに新鮮さを保つようにしてます。
リピーターを作るためにしていることや気をつけていることはありますか?
新規、リピーターと対応を分けてメッセージカードや包装にコメントを書いて、特別感と感謝の気持ちを伝えてみたりしてます。それが効果があるのかどうかわからないですけど、Uber Eats マネージャーで確認すると、結構な割合でリピートしていただいているので今後も継続していく予定です。ただ、タブレットを一元管理しているブランドは、新規なのかリピーターなのかは一目でわからないので、同じメッセージだけどやらないよりはやったほうがいい精神で商品にメッセージカードを同梱してます。
デリバリー対応でやってしまったというミスを教えてください。
飲食店ではあるあるですが、カトラリーを入れずに提供してしまって、クレームをいただいたことですね。といっても今だからいいますが、そのお客様は、カトラリーが必要ないと書いてあったから入れなかったのに、何を使って食べればいいんだと怒られたんです。Uber Eats アプリの設定は、カトラリー無しが多分デフォルトなので、今はカトラリー無しと書いてあってもすべての商品に入れるようにしてます。ただ当たり前ですが、カトラリーにも経費が掛かるので必要以上に入れるのは注意ですね。
デリバリープラットフォームについて
プラットフォームは一つですか?それとも複数ですか?
デリバリーのプラットフォームは、Uber Eats の他にもう一つ契約しています。
プラットフォームごとの注文比率を教えてください
Uber Eats 85%、他15%という感じです。
Uber Eats が注文が多いのは理由はありますか?
Uber Eats は費用をかけると表示順位が上がったり、利用者が見つけやすいところにお店を表示してくれたりしてくれるサービスがあるので、それを利用しているのが大きいかもしれませんね。もちろん他のプラットフォームにもあるとは思いますが、もともと注文数が少ないと感じているので、費用を掛けずに注文が入ればラッキーくらいで考えてます。
表示順位を上げるのはどのくらい費用をかけてますか?
そんなに費用はかけてないです。3000円分設定して、無くなったら3000円追加するって感じです。ブランドによるのかもしれませんが、1ヶ月で6000円使い切ることはあまりないですね。
デリバリープラットフォームについて感じていることを教えてください
Uber Eats は月に1回程度、担当さんがお店の運営についてミーティングを開いてくれるので、ブランド追加や停止など相談で助かっている部分はあります。あとは、他のプラットフォームより問い合わせをしたときのレスポンスは早い気がします。もう一つのプラットフォームは問い合わせをしても返事は翌日以降とかがザラにあるので、使いにくさが目立ちますね。
配達パートナーについて感じていることはありますか?
基本的には礼儀正しい良い方が多いように感じます。ただ、中には態度がちょっと気になる方がいらっしゃるので、配達先で利用者にどういう風に接してるのか心配になりますね。
今まで印象に残っている配達パートナーを教えてください!
結構びっくりするくらいひどい人がいますよ?!例えば…
配達が雑な人
利用者からクレームをいただいて発覚したんですが…。届いた商品がぐちゃぐちゃだったとのことでした。パッキング時の商品チェックは必ず行っているので、見た目が酷いことは絶対ないと言いきれるんですが、利用者が嘘をつくことも考えにくいので、配達パートナーの方の運び方に問題があったのかなと思いました。
商品ができてないと怒鳴る人
注文が入ってさぁ調理しよう!というタイミングでピックに来られたので、まだできてないから10分くらい待ってくださいと伝えると、「早く作れよ!」と大きな声で怒鳴るんです。調理中に何度も「まだ?!」と声をかけてきて、結局8分くらいで商品をお渡しできたんですが、ピックして配達に出られるまでにレジ台を3回くらいドンドンもされましたし…。ちょっと流石にもうピックに来て欲しくないと思いましたね。
ピックに来ていきなりいなくなる人
今までで一番呆気にとられた配達パートナーは、ピックに来てる人がその場でダブルを受注したお店が当店とは知らなかったみたいで、ダブルの商品は12~3分かかると伝えたんです。そうしたら、最初の商品がもうそろそろ出来上がるタイミングでパートナーさんが見当たらないのでタブレットを見てみたら、二件ともキャンセルしていなくなってたんです。流石にびっくりしましたね。しかも次の配達パートナーさんが決まらなくて困りました…。
売上・経費・営業利益を大公開!?
今回インタビューさせていただいたお店の数字関係を、表にまとめてみました!教えていただいた店舗の売上と経費、利益率から見た営業利益や損益分岐点なども考察しているので、是非参考にしてください!
インタビューしたお店の売上情報
- 店舗全体の売上:月平均130万円
- デリバリーだけの売上:月平均50万円
※固定費・変動費については以下の表をご覧ください!
初めに損益分岐点とは
損益分岐点とは、売上から固定費や変動費などの経費を引いたときに、±0になる売上高のことを指します。
ちなみに固定費とは、売上に左右されない毎月固定で掛かる費用のことで、家賃とか人件費、設備のリース費用や通信費・広告宣伝費などのことです。売り上げによって変動しそうな光熱費も一般的には固定費に分類されます。
また変動費とは、売上によって変動する経費のことで、飲食店運営では食材の仕入費用やデリバリーのシステム利用料、商品の包材費などがあります。
デリバリーの粗利を出してみる
飲食店の粗利計算は非常にシンプルで、売上から原材料費を引いたものが粗利です。あとは、FCのロイヤルティとデリバリープラットフォームの利用料が売上高に比例してかかってくるので、これも変動費として合わせて計算してみます。
変動費 | 割合 |
---|---|
食材費 | 25% |
梱包材費 | 5% |
FCロイヤリティ | 売上の10% |
デリバリー利用料 | 売上の40% |
※食材費・梱包材費は平均値を採用しています。
注)FCのロイヤルティが売上関係ないのであれば固定費に分類しましょう。
変動費の合計割合はデリバリー売上の80%。デリバリー売上は、月平均50万円なので20%が粗利=10万円となります。
イートインとテイクアウトの粗利を出してみる
店舗の全体売上は月平均130万円なので、130万円からデリバリーの月間売上50万円を引いた80万円がイートインとテイクアウトの売上と考えられます。
イートインとテイクアウトの粗利は、売上80万円から食材費の25%とロイヤルティの10%を引いた52万円となります。
※イートインとテイクアウトの売上高の詳細な割合は分からないので、テイクアウトで必要な梱包材費はここでは考えないものとします。
※FC商品をイートインとテイクアウトで販売した場合に発生するロイヤルティーは、考察を分かりやすいくするため一律で売上の10%として計算します。
店舗の固定費を出してみる
固定費は売上に左右されない経費のことで、家賃・人件費・通信費などがあります。売上によって左右されそうな光熱費も一般的には固定費として考えます。
それでは、まずは家賃・人件費・光熱費・通信費をざっと見てみます。
固定費 | 金額 |
---|---|
家賃 | 50,000円 |
人件費 | 150,000円 |
光熱費 | 100,000円 |
通信費 | 10,000円 |
※一般的に人件費はアルバイトは変動費、正社員は固定費として分類しますが、今回は固定費として計算しています。
※固定費には上記の項目以外にも考えられますが、詳細な金額は分からないので今回は考慮しないものとします。
固定費4項目の合計が31万円になりました。この金額は売上が0円でも必要な経費だと思ってください。
実際の利益(営業利益)を出してみる
実際の利益は、粗利から固定費を引いた金額になります。
店舗全体の粗利はイートインとテイクアウトの52万円に、デリバリーの10万円を加えた62万円になります。
この62万円から固定費の合計31万円を引いた31万円が営業利益になります。
今回インタビューさせていただいたお店は、オーナーが基本営業ラインで稼働しているので、この31万円がオーナーの給料になると思えばわかりやすいですね。
※飲食店営業には様々な雑費が必要ですし、今回の計算には広告宣伝費や消耗品などの経費は考慮していないので、実際は31万円より低くなると思ってください。
最後に損益分岐点を出してみる
損益分岐点を調べるには公式があります。
損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費比率)
- 損益分岐点売上高:店舗の収支が±0になる売上高
- 変動費比率:変動費の合計を店舗全体売上で割ると出る数値
今回インタビューした店舗は、固定費の合計は31万円。変動費比率は、デリバリーの変動費40万と、イートイン・テイクアウトの変動費28万円を合計した68万円を、130万円で割った数値=0.523となります。
以上の数値を公式に当てはめてみると、
310,000÷(1-0.523)=649,895、約65万円となります。
この数値からみると、1か月で65万円を売り上げた時点で赤字はなくなり、それ以降は売れば売るだけ黒字になるということです。とはいえ、テイクアウトだけで65万円売り上げても、イートインやテイクアウトとは変動費が違いすぎるので、黒字にはなりません。
仮にALLイートインで130万円売り上げた場合と、ALLデリバリーで130万円売り上げた場合の損益分岐点を計算してみました。
- イートイン:310,000÷(1-0.35)=476,923
- デリバリー:310,000÷(1-0.8)=1,550,000
このように並べてみると、やっぱりデリバリーは利益が少ないなってわかりますね!といっても、デリバリーはイートインの来客がいないときの固定費を有効に活用できる(特に人件費)+食材の廃棄率を下げられるという利点があるので、売上0円よりかはマシという考えで運営するといいと思います。
ただし、この数値はオーナー自ら店舗に立ち営業しているからであり、人件費を増やして雇用したスタッフだけで店舗を運営する場合は、その分だけ損益分岐点は高くなると思ってください!
※ゴーストレストランが、オーナーもしくはスタッフが一人で営業するのが一般的なのは、損益分岐点が高くなりがちだからという理由がほとんどです。
また、損益分岐点は固定費を見直すことで下げることができます。無駄な電気を使わないとか、暇な時間にスタッフを多く雇用しないなど様々な工夫ができると思うので、少しでも利益が確保できるように考えてみましょう!
結論:ゴーストレストランはまだまだ稼げる!
飲食店の新しいカタチとして定着していく
飲食店運営で一番の懸念点は、販売している商品の旬が過ぎて、売上が徐々に下降線をたどり閉店してしまうこと。
そのうえで、ゴーストレストランは、「旬の商品をすぐに導入できる」だけでなく、「止めたい商品をいつでも中止できる」この2点が最大の強みだと思います。
飲食店はオープン3年後の廃業率が70%と言われる中で、ゴーストレストランを正しく運営できれば、廃業率は50%以下にはできるでしょう。
良くも悪くも商品力だけでお店が評価される世界
ゴーストレストランは、デリバリーの原点「届いた商品のみで店舗が評価」されます。接客での加点がある一般的な飲食店と比べるとシビアに感じるかもしれませんが、目の前の商品に注力すればいいだけなので、シンプルだといえます。
※接客は質が悪ければ減点されるので、両刃の剣ではありますね。
飲食店の経験がなかったり、接客が苦手だったりしても、集客する方法を常に考え商品力を高めていけば誰でも戦える世界です。
これから起業したい、脱サラして自分の力を試したい!という方は、飲食店経営をする第一歩として、イートイン店ではなくテイクアウト店やゴーストレストランに挑戦してみるのがおすすめです!
最後に…
イートイン店にくらべ、テイクアウト店やゴーストレストランは資金が少なくても開業できるというメリットがあります。飲食店開業に多額の資金を投入したはいいものの、回収できずに廃業しては元も子もないですからね。
しかも、接客ありきのイートイン店と比べると、飲食店経験が浅い方でもゴーストレストランのほうが圧倒的に運営はしやすいと思います。その分、SNSやプラットフォームの内部施策を使って集客をしっかりと行う必要はあるので簡単ではないですが、リスクはイートイン店に比べると少ないので、飲食店を開業するなら是非検討してみてください!